加賀二俣 松扉山 本泉寺
二俣は金沢の東部、医王山の美しい景観に抱かれた山峡の集落です。川のせせらぎは今もなお五百有余年の尊い念仏の歴史を伝え、紙すく乙女の清楚な歌声をも織り合わせて、朝夕たゆみなくそのさわやかな音をたたえています。本泉寺は富山県との県境も近く、昔から尾山から二俣を経て砺波の里にぬける道が、加賀・越中を結ぶ最短通路であったと言われ、この周辺に蓮如上人布教の足跡が数多く残されています。二俣本泉寺は、特に井波の瑞泉寺や越前吉崎御坊と共に、加賀における真宗興隆の基盤を成した寺院であります。
明徳元年(1390年)本願寺第五世綽如上人が越中砺波まで歩みを進め、井波の地に瑞泉寺を創建したが間もなく入滅されました。その五十年後綽如上人の意志を継ぐべく井波に足を運んだのが、蓮如上人の叔父にあたる如浄法印でした。しかし師は間もなく井波の寺を離れて、新しく二俣の地に本泉寺を草創しました。その頃二俣にはすでに亡き綽如上人が折々憩った草庵があり、ここに如浄師がご本尊を安置して、念仏の教化に当たられる因縁が熟していたのでありましょう。 |